言語聴覚療法(ST)

コミュニケーションを諦めない

声が出ない、体が動かない、そういった患者様がたくさんいらっしゃいます。一人一人の患者様に合ったコミュニケーション方法を一緒に考え、文字盤や意思伝達装置を選定します。口から食べる楽しみも、摂食嚥下評価・訓練でサポートしています。

部門概要

狭山神経内科病院には、ALSをはじめとする神経難病や蘇生後脳症、頭部外傷、頸髄損傷など、人工呼吸器管理を必要とする患者様が入院されています。ST部門では、そうした患者様へのコミュニケーション支援をメインに活動しています。
コミュニケーション支援と言っても意思伝達装置や透明文字盤などのツールの導入だけではなく、失語症や注意障害、精神遅滞、認知症など、患者様が抱える様々な問題に対して包括的にサポートしています。
また、狭山神経内科病院に入院されている患者様は気管切開をしていますが、リスク管理をしっかり行った上で、お楽しみとしての経口摂取も行っています。
入院患者様への介入以外にも、外来や訪問で神経難病の患者様へリハビリを提供しています。

2024年9月現在、ST部門には5名のスタッフが在籍しています。

業務内容

コミュニケーション支援

当院の患者様は気管切開等で声が出ない方、麻痺で身体が自由に動かせない方など沢山いらっしゃいます。ではその方々とどのように意思疎通(コミュニケーション)を図ればよいのでしょうか。 そこで私達STの出番です。患者様の残存した機能(表情・口形・ジェスチャー)や文字盤などのローテク、意思伝達装置のようなハイテクなツールを使用し、効率よくその方に合った方法を共に考え選択し支援していく仕事です。

文字盤

当院のコミュニケーションツールの1つであるのが文字盤です。
文字盤には、50音タイプやフリック式タイプなど表記されているものがあります。伝達方法も患者様が指差しして伝えるタイプ、文字盤の文字を見つめること(視線)で相手に伝えるタイプなど様々なタイプの文字盤があります。
そこでSTは患者様が最適に使用できるように評価、選択、指導をしていきます。 また、文字盤の指導は患者様だけでなくご家族や当院のスタッフなど患者様に関わる人へも実施し、より多くの方が患者様とコミュニケーションを図れるようにすることもSTの仕事の1つです。

意思伝達装置

最近ではパソコンやiPad、スマホといったデバイスを用いてコミュニケーションを図る事が増えています。
なかでも、パソコンを使用した意思伝達装置は当院での重要なコミュニケ-ションツールの1つです。
意思伝達装置にも「伝の心」「miyasuku」「TCスキャン」等のソフトがある事や、操作方法もその患者様の機能に応じてどのようなスイッチ(入力方法)にするのかを選択し、指導、訓練しています。 また、意思伝達装置は公的負担が効くため、その際の申請時に市役所の方や業者の方とやり取りをし、お手伝いすることもSTの仕事の1つです。

ナースコール

患者様は正規のナースコールを押せる方が少ない為、当院のナースコールシステムに入っている「ケアコム」の障碍者用ナースコールを使用するケースが多いです。患者様が自ら設置することが困難で私達介助側が設置するため誰もが簡単に設置できるタイプを推奨しています。その選定に携わる事もSTの仕事の1つです。

お楽しみ

当院の患者様は人工呼吸器を装着されている方が多く、栄養摂取はほぼ胃瘻や経鼻経管で行っています。しかし「口から食べたい」「食べることが生きがい」といった声も数多く聞かれます。そこで我々STは患者様の希望を叶えるべく、医師の指示のもと、安全な経口摂取が可能か評価を行い、お楽しみレベルの経口摂取をリハビリで行っています。
また、誤嚥防止術を施行されている患者様には、可能な限り長期間のお楽しみを継続して頂いています。

摂食例:
プリン・ゼリー・ヨーグルト・アイス・常食(冷凍食品、カップ麵、パン等)・嚥下調整食(お粥・柔らかいおかず等)・ジュース・コーヒー・ノンアルコールビールなど、患者様の嗜好や希望に合わせ多岐にわたる。

口腔ケア

「口から食べていないのに口腔ケアが必要なの?」と聞かれることが多くありますが、答えは「経口摂取をしていない患者様の方が口腔内は汚れやすい」です。唾液の分泌量が減ったり、口が開いたままになったりしている場合など、口腔内が乾燥し、細菌が繁殖しやすい環境となってしまいます。特に当院の患者様のように人工呼吸器を装着している方は、基本的に経口摂取を行わないため、口腔内が汚れやすいです。口腔内が不衛生であることは、誤嚥性肺炎の原因となります。
そこでSTは、看護部での口腔ケアとは別に「機能的口腔ケア」を行っています。
口腔内を清潔にすることで誤嚥性肺炎を予防し、さらに口腔機能の維持改善をも目的とした口腔ケアをリハビリで行います。話す、表情をつくるなどの口の動き、口周りや舌の筋肉の働きを維持改善するためのマッサージや筋力トレーニングを行うことで、日常でのコミュニケーション機能の維持にも役立ちます。機能的口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防、コミュニケーション活動にも繋がる大切なリハビリのひとつです。

外来・訪問

当院では月~木曜日の午前中に外来患者様のリハビリを行っています。2024年9月現在、外来患者様18名にご利用頂いています。対象疾患はALS、パーキンソン病などの神経難病です。また、狭山市近郊にお住いの神経難病患者様を対象に、訪問リハビリも行っています。2024年9月現在、5名の患者様にご利用頂いています。
STは主に発声発語訓練、間接嚥下訓練、意思伝達装置の選定・導入などで介入しています。

部門の活動

定期ミーティング

月2~3回、隔週、朝9時台に開催しています。 新規患者様の入院情報や物品管理、業務上生じた問題や疑問など、様々な情報共有・議論を行っています。各STからの提案なども自由に発言できます。

摂食嚥下カンファレンス

月1回、朝9時台に開催しています。

お楽しみ等の嚥下訓練を実施している患者様を中心に、機能や実施内容などを情報共有し、より安全な介入ができるよう意見交換をしています。 また、新たに嚥下訓練を開始する患者様に関しては、安全に実施できるかST全員で検討しています。リスク回避のためには直接訓練の可否について検討する場合もあります。

症例検討(勉強会)

月1回、朝9時台に実施し、毎月一人ずつ順番に発表しています。 テ-マや内容は、知識や学びを深めると言う趣旨に沿っていれば自由です。入院患者様の症例検討をはじめ、過去の症例、最近の知見など幅広く行っています。